わたし、外国人。日本人に「Hello」と言われて困っちゃう!

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北陸新幹線開業で外国人観光客が増えつつある石川県金沢市。日本全体で見ても2020年の東京オリンピックに向けてインバウンド観光に力を入れています。10年前と比べると、地方でも外国人観光客をみかけることが多くなりました。しかし、長い歴史のなかで外国人と接することの少なかった日本人は、どうもうまく対応できていないように思います。この記事では、数ある問題のなかから「言葉」にフォーカスして考えてみます。

そのまえに。僕は「外国人」という言葉があまり好きではないのですが、ここでは便宜上、日本国籍を持たない人を「外国人」と呼ばせていただきます。これから見ていくのは賛否両論の問題だとは思いますが、今後外国人と接するときにどうすればいいかを考えるきっかけになればと思います。

 

外国人≠英語話者

金沢の街を散歩していると、あちらこちらから「ハロー」や「センキュー」という声が聞こえてきます。言っているのは日本人のほうです。こんなことがよくあります。お店の人は「センキューベリーマッチ」と言って、観光客のほうが「ありがとう」と言っている場面です。僕はこの光景に違和感を覚えます。なぜかって、観光客が中国人やスペイン人だからです。彼らの母国語は英語ではなく、中国語やスペイン語です。

確かに英語は事実上の世界共通語ですが、すべての人が英語を話すわけではありません。それでも「白人は英語を話す」と思っている人は少なくないように見えます。ヨーロッパで英語を話すのはイギリスだけで、その他の国の人にとって英語は外国語です。イタリアやスペインの人は日本人とおなじくらい英語ができません。もし自分がヨーロッパに行って「ニーハオ」と声をかけられたら嫌ですよね。でも、残念なことに、アジアの外には「アジア人=中国人=中国語」というイメージが少なからずあります。これと同じような考えが日本の中にもあります。日本に当たり前のように浸透している「欧米人=外国人=英語」という考え方は相手にとって失礼になってしまうかもしれません。

そして気をつけるべきことがもうひとつ。それは見かけで人の国籍を判断すべきでないということ。アメリカやフランス、オランダは移民の多い国です。アジア系やアフリカ系の人もたくさんいます。両親が日本人だけど、生まれも育ちもアメリカで、英語のほうが上手く話せるという人もいます。同じことが日本の中でも起きています。両親の仕事などの都合で日本で生まれ育った日本国籍の白人だっています。ずっと日本で生まれ育ったのに日本人として見てもらえないことにもどかしさを感じている人を知っています。

いろいろな事情はありますが、見た目だけで人を判断して、外国人だと思えばすぐに英語を使うのはやめるべきです。英語を使うなと言っているわけではありません。相手が英語を話せることを前提に無理して英語で話すよりも、日本人どうしが話す時のように、日本語で自然に会話のきっかけをつくったほうがいいのでないかというご提案です。

 

距離が縮まる「こんにちは」

さきほどのお店の例では、日本人のほうは相手を気遣って「ハロー」と言っているのかもしれませんが、言われた側は複雑な気持ちになります。自分の経験で言うと、フランスのお店で「Merci(メルシー)」と言って「Thank you!」と言い返されたことが何度もありました。「ありがとう」の意思は伝わります。でも「ああ、自分はやっぱり外国人なんだな」と疎外されているような気がしました。

でも、フランスでもスペインでもイタリアでも、現地の言葉で話しかけられることが多かったです。何を言っているのかわかりません。ただ、自分を受け入れてくれているような気がするんです。相手は自分が現地の言葉を話せないと分かると、それから英語で話してくれます。英語が苦手だから現地の言葉で話しかけてくるのかもしれませんが、やっぱりそれが自然なんですよね。だから居心地がよく感じます。

もし相手を迎え入れようとするのなら、観光客に対しても自分たちのコミュニティのなかにいる人とおなじように接するべきですよね。そう考えると「Hello」も「Thank you」もかなり不自然な言葉になります。日本語で話されると「日本に来た」という実感が持てますし、心の距離も縮まるはずです。

 

難しい英語はいらない

世界中の観光地には英語の案内やメニューが置いてあります。英語が世界の共通語だからですよね。でも、繰り返しになりますが、すべての人が英語を堪能に話すことができるわけではありません。たとえばメニューに「能登の棚田でつくられたこしひかりと、金沢港で獲れた新鮮なのどぐろを惜しみなく使った海鮮丼です」と英語で書かれているとして、非ネイティブ話者が理解できるでしょうか。もし単語を理解できたとしても「能登の棚田って何?のどぐろって何?」と思われるかもしれません。日本の文化や地理を理解していないと、直訳しただけの文章は伝わりません。

日本人は英語が苦手だといいますが、それは外国人だって程度の差はあれ同じです。だから、英語を話すときやメニューをつくるときに辞書を引いて難しい単語を使う必要はありません。難しい単語を使って英語らしい文章を使っても、相手の英語力が伴っていないと伝わりませんからね。もし自分の使える英語だけでは説明不足になるようなら、イラストや写真を使って説明したらどうでしょう。

 

英語ができなくてもいい

もう英語ができなくたっていいと思います。訪日観光客のアンケートには「英語の案内が少ない」というのが上位にありますが、そういうのは英語の得意な人にやらせておきましょう。英語ができなくても日本人として生きていけますが、母国語を話せないのは一番の致命傷ですよね。好きでもない英語に注ぐエネルギーを日本語に回したほうがいい気がします。「英語なんて無理!」と思ったら無理して話さなくてもいいんです。日本語だけで強行突破すればいいんです。英語ができないのを理由に外国の人から逃げるのはもったいないですよ!

さきほどヨーロッパでは現地の言葉で話しかけられると書きましたが、イタリアで出会ったスペイン人のおばちゃんにはスペイン語で「写真を撮ってください」と言われました。ベルギーで出会ったホームレスのおじさんもフランス語しか話せませんでした。ジェスチャーで会話しました。もちろん難しい話はできませんが、伝えようとすると、なんとなく伝わるんです。だから、英語ができなくても日本語と身体をつかって言いたいことを表現すればいいと思います。

 

「おもてなし」に疲れないために

「マイクロアグレッション(Microaggressions)」という言葉があります。違う文化の相手に対してしたことが無自覚のうちに相手にとって不快になることを指します。これがなかなか厄介で難しいんですよね。どうすれば相手に良く思ってもらえるか、失礼にならないかを考え続けるのは大変なことです。

東京オリンピックに向けて日本は「おもてなし」を売り込んでいますね。でも、人をもてなすのは大変です。それが毎日、何年と続くと疲れてしまうかもしれません。だから、もしそれが重荷になるようであれば自然にしていればいいと思います。変に特別扱いされるより、自然に接してもらったほうが気楽です。

タイトルの「日本人に『Hello』と言われて困っちゃう!」は留学生の友達が言っていたこと。日本が好きで、日本に来て、日本語を話したいのに、外国人扱いをされてしまう。それが仕方のないことだと分かっていても、やっぱり残念に思います。答えのないこの問題。みなさんはどう思いますか?

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