アムトラック「コースト・スターライト号」に乗って

[:ja]国や世代を問わず、寝台列車は列車の中でも特別な存在。日本では引退したばかりの「トワイライトエクスプレス」や「北斗星」にはじまり、豪華寝台列車の「ななつ星in九州」にもファンが多いのはみなさんもご存じのこと。南アフリカやタイ―マレーシアなどの開発途上国でも富裕層・外国人向けの観光寝台列車が大人気です。

アメリカにも鉄道がありますが、日本やイタリア・ドイツ・フランスほど発達してはいません。それもそのはず、あまりに国土が広すぎて、鉄道で全土をカバーするのは難しいからです。たとえば西海岸のサンフランシスコから東海岸のニューヨークまで鉄道で行こうとすると、4日はかかってしまいます。なので、近距離輸送をのぞいて鉄道はマイナーな交通手段で、長距離鉄道はもっぱら観光列車の要素が強いです。

アメリカは日本とは反対で、貨物が線路を優先的に使っているので、旅客輸送は貨物の線路を借りて走る形になります。そして、単線区間も多いので、本数も増やせません。線路も高速走行に対応していないので、直線区間でも時速120km程度が限界です。日本で言うJRの旅客部門がアメリカのアムトラック(Amtrak)で、おもに主要都市を結ぶ列車を運行しています。

 
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さて、前置きが長くなりましたが、今回乗車するのはアムトラックの「コースト・スターライト(Coast Starlight)」!ロサンゼルスとシアトルを約36時間かけて結びます。そのうち、ロサンゼルスからサンフランシスコ(オークランド駅)まで乗車しました。

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チケットはインターネットで事前に購入。早めに購入すると割引があって、ロサンゼルスからオークランドまで、51ドルでした。チケットはメールでPDFが送られてくるeチケットで、事前に印刷しておくだけでOK。それを持って、朝10時前にロサンゼルス中央駅(ユニオン・ステーション)へ。

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案内板を見ると、すでに「BOARDING」の文字があったので、10番線へ。ホームに入ると、二階建ての巨大な車体の壁に挟まれました。威圧感。写真右がコースト・スターライト。

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今回乗車するのはコーチ(椅子)車両で、最も安いクラス。中上級ホテル並みの料金を払えば、スリーパー(寝台)車両に乗ることもできます。寝台にもクラスがありますが、ここでは割愛。

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車内に入ると、アテンダントに案内され、二階席へ。日本のフル規格新幹線のボディの広さで、シートは2・2列。つまり、グリーン車と同じ広さのゆったりとしたシート。体格のいいアメリカ人に合わせてあるからでしょうか。おかげで、小柄な自分には十分すぎるほどの広い空間。

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シートはこんなにリクライニングができて、一度この席で夜を過ごしたら、二度と夜行バスには乗れないような仕様になっています。ちなみに、フットリクライニングは90度まで上がりますが、90度まであげることってありますかね。

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もちろんテーブルも大きくて、120Vのコンセントつき。エアコンは欧米にありがちな、寒すぎ・暑すぎでもなく、快適な温度に設定されていました。

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コーチ車両は全部で4両あって、その隣には展望車があります。展望フロアは二階で、一階はカフェ(売店)になっています。売店にはスナックやハンバーガーなどの軽食が売っているので、そのまま二階で食べながら景色を眺めたり、隣のお客さんとお話したりできます。

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さらに隣の車両はダイニングカー。寝台車の乗客は料金に食事も含まれていて、朝・昼・夜と食事ができます。値段はそれなりですが、コーチ車両の乗客もレストランを利用することができます。ただし、車内での予約が必要で、寝台車の乗客が優先されるので、必ずしも利用できるとは限りません。

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さあ、10時10分、定刻通り列車は発車。はじめはゆっくりとロサンゼルスの市街を抜けていきます。発車後しばらくすると、車掌さんが来たので、eチケットを見せて検札終了。

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しだいに、ゴツゴツとした岩肌が迫ってくるようになって、トンネルを抜けたり、ぐねぐねと曲がったり。速度はさほど速くはないものの、間近に岩が迫ってくるので、迫力満点。

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たいていの区間は山中や家が点々としているところばかりを走っていますが、停車駅が近づくと街が見えてきます。

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それも発車すると、すぐに景色は殺風景に。

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車窓からはアメリカらしい大規模農園が見えて、ときどき作業をしている人が手を振ってくれます。これもアメリカらしいといえば、アメリカらしいかも。それにしても、家も見当たらないのに、ただ畑だけが続く光景。いったいどうやって管理しているのか検討もつきません。

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列車は海岸線を走ります。土曜日ということもあって、道路脇には何百というキャンピングカーが並んでいます。3月とはいえ、ここはカリフォルニア、気温は30度。水温は低いでしょうけど、日に当たるにはちょうどいい季節。

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12時25分頃にサンタ・バーバラ(Santa Barbara)に到着。車掌からアナウンス。「まもなくサンタ・バーバラに到着します。ここでは40分の発車まで15分ほど停車します。発車まで外でタバコを吸ったり、散歩をしたり、写真を撮ったりしてもいいですが、ビーチがきれいだからってビーチには行かないでね。ときどき置いてけぼりにされる人がいるから。いつでも飛び乗れるように常に列車の前に立っていたほうがいいよ(笑)」

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ちょうどお昼時なので、カフェでピザを買ってお食事。アメリカの皆さんには物足りないでしょうけど、少食の自分には十分の量で6ドル。熱々のおいしいピザで満足。

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再び景色は殺風景になっていく。

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ゆっくりと山を上っていく。

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爽やかな空の中、ゆっくりと180度の弧を描く。

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これだけの車両が見えるほどの急カーブ。

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起伏に富んだ広い放牧地に牛が点々としています。もちろん人影はほとんどありませんが、時々マウンテンバイクでトレイルをしている人がいました。こんな景色の中を走るなんて羨ましい。

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列車はどんどん山の中へと進んでいき、さらに速度を落とし、ぐねぐねとしたカーブの連続を進みます。

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どの角度からみても美しい山並みに見とれて、時間もあっという間に過ぎていく。

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サリーナス(Salinas)を過ぎた頃、車内がほんのわずかの間、茜色に染まりました。

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窓の外を見ると、真っ赤な夕陽!

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21時24分、コーストスターライトは、定刻通りオークランド・ジャック・ロンドン・スクエア駅に到着。

乗車時間11時間の長旅でしたが、時間を感じさせないほどあっという間の旅でした。隣に乗客がいなかったこともあります、ゆったりとしたシートが快適。気晴らしに展望車に行ったり、停車時間の長い駅で外の空気を吸ったりもできました。

寝台車の乗客はワインテイスティングや映画鑑賞などの催し物にも参加できるようですが、そうでなくとも10時間ほどの乗車なら十分充実した旅を楽しむことができます。フレンドリーなアメリカ人の乗客との会話は楽しいし、ダイナミックな景色を観賞するのも楽しい。市街地、山、海と、窓がキャンバスのように美しい景色が映ります。ロサンゼルス―サンフランシスコを移動する予定があるなら、ぜひ乗っていただきたい路線です。[:en]国や世代を問わず、寝台列車は列車の中でも特別な存在。日本では引退したばかりの「トワイライトエクスプレス」や「北斗星」にはじまり、豪華寝台列車の「ななつ星in九州」にもファンが多い。南アフリカやタイ―マレーシアなどの開発途上国でも富裕層・外国人向けの観光寝台列車が大人気だ。

アメリカにも鉄道があるが、日本やイタリア・ドイツ・フランスほど発達してはいない。それもそのはず、あまりに国土が広すぎて、鉄道で全土をカバーするのは難しいからだ。たとえば西海岸のサンフランシスコから東海岸のニューヨークまで鉄道で行こうとすると、4日はかかってしまう。それゆえ、近距離輸送をのぞいて鉄道はマイナーな交通手段で、長距離鉄道はもっぱら観光列車の要素が強い。

アメリカは日本とは反対で、貨物が線路を優先的に使うため、旅客輸送は貨物の線路を借りて走る形になる。また、単線区間も多いため、本数も増やせない。線路も高速走行に対応していないため、直線区間でも時速120km程度が限界だ。日本で言うJRの旅客部門がアメリカのアムトラック(Amtrak)で、おもに主要都市を結ぶ列車を運行している。

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さて、前置きが長くなったが、今回乗車するのはアムトラックの「コースト・スターライト(Coast Starlight)」で、ロサンゼルスとシアトルを約36時間かけて結ぶ。そのうち、ロサンゼルスからサンフランシスコ(オークランド駅)まで乗車した。

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チケットはインターネットで事前に購入。早めに購入すると割引があり、ロサンゼルスからオークランドまで、51ドルだった。チケットはメールでPDFが送られてくるeチケットで、事前に印刷しておくだけでOK。それを持って、朝10時前にロサンゼルス中央駅(ユニオン・ステーション)へ。

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案内板を見ると、すでに「BOARDING」の文字があったので、10番線へと向かう。ホームに入ると、二階建ての巨大な車体の壁に挟まれた。写真右がコースト・スターライト。

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今回乗車するのはコーチ(椅子)車両で、最も安い。中上級ホテル並みの料金を払えば、スリーパー(寝台)車両に乗ることもできる。寝台にもクラスがあるが、ここでは割愛。

E7D_3599
車内に入ると、アテンダントに案内され、二階席へ。日本のフル規格新幹線のボディの広さで、シートは2・2列。つまり、グリーン車と同じ広さのゆったりとしたシート。体格のいいアメリカ人に合わせてあるからだろうか。おかげで、小柄な自分には十分すぎるほどの広い空間。

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シートはこんなにリクライニングができて、一度この席で夜を過ごしたら、二度と夜行バスには乗れないような仕様になっている。ちなみに、フットリクライニングは90度まで上がるが、その必要性は不明。

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もちろんテーブルも大きくて、120Vのコンセントつき。エアコンは欧米にありがちな、寒すぎ・暑すぎでもなく、快適な温度に設定されていた。

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コーチ車両は全部で4両あり、その隣には展望車がある。展望フロアは二階で、一階はカフェ(売店)になっている。売店にはスナックやハンバーガーなどの軽食が売っているので、そのまま二階で食べながら景色を眺めたり、隣のお客さんとお話したりできる。

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さらに隣の車両はダイニングカー。寝台車の乗客は料金に食事も含まれており、朝・昼・夜と食事ができる。値段はそれなりだが、コーチ車両の乗客もレストランを利用することができる。ただし、車内での予約が必要で、寝台車の乗客が優先されるので、必ずしも利用できるとは限らない。

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さあ、10時10分、定刻通り列車は発車。はじめはゆっくりとロサンゼルスの市街を抜けていく。発射後しばらくすると、車掌が来たので、eチケットを見せて検札終了。

E7D_3634
しだいに、ゴツゴツとした岩肌が迫ってくるようになり、トンネルを抜けたり、ぐねぐねと曲がったり。速度はさほど速くはないものの、間近に岩が迫ってくるので、迫力満点。

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たいていの区間は山中や家が点々としているところばかりを走っているものの、停車駅が近づくと街が見えてくる。

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それも発車すると、すぐに景色は殺風景に。

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車窓からはアメリカらしい大規模農園が見え、ときどき作業をしている人が手を振ってくれます。これもアメリカらしいといえば、アメリカらしいかも。それにしても、家も見当たらないのに、ただ畑だけが続く光景。いったいどうやって管理しているのか検討もつかない。

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列車は進み、海岸線を走る。土曜日ということもあり、道路脇には何百というキャンピングカーが並んでいる。3月はいえ、ここはカリフォルニア、気温は30度もある。水温は低いだろうが、日に当たるにはちょうどいい季節。

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12時25分頃にサンタ・バーバラ(Santa Barbara)に到着。車掌からアナウンス。「まもなくサンタ・バーバラに到着します。ここでは40分の発車まで15分ほど停車します。発車まで外でタバコを吸ったり、散歩をしたり、写真を撮ったりしてもいいですが、ビーチがきれいだからってビーチには行かないでね。ときどき置いてけぼりにされる人がいるから。いつでも飛び乗れるように常に列車の前に立っていたほうがいいよ(笑)」

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ちょうどお昼時なので、カフェでピザを買ってお食事。アメリカの皆さんには物足りないでしょうが、少食の自分には十分の量で6ドル。熱々のおいしいピザで満足。

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再び景色は殺風景になっていく。

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ゆっくりと山を上っていく。

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爽やかな空の中、ゆっくりと180度の弧を描く。

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これだけの車両が見えるほどの急カーブ。

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起伏に富んだ広い放牧地に牛が点々としている。もちろん人影はほとんどないが、時々マウンテンバイクでトレイルをしている人がいた。こんな景色の中を走るなんて羨ましい限り。

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列車はどんどん山の中へと進んでいき、さらに速度を落とし、ぐねぐねとしたカーブの連続を行く。

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どの角度からみても美しい山並みに見とれて、時間もあっという間に過ぎていく。

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サリーナス(Salinas)を過ぎた頃、車内がほんのわずかの間、茜色に染まった。乗客は一斉にカメラを取り出した。

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窓の外を見ると、真っ赤な夕陽が見えた。

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21時24分、コーストスターライトは、定刻通りオークランド・ジャック・ロンドン・スクエア駅に到着した。

乗車時間はおよそ11時間の長旅だったが、時間を感じさせないほどあっという間の旅だった。隣に乗客がいなかったこともあるが、ゆったりとしたシートが快適。気晴らしに展望車に行ったり、停車時間の長い駅で外の空気を吸ったりもできた。

寝台車の乗客はワインテイスティングや映画鑑賞などの催し物にも参加できるようだが、そうでなくとも10時間ほどの乗車なら十分充実した旅を楽しむことができる。フレンドリーなアメリカ人の乗客との会話は楽しいし、ダイナミックな景色を観賞するのも楽しい。市街地、山、海と、窓がキャンバスのように美しい景色が映る。ロサンゼルス―サンフランシスコを移動する予定があるなら、ぜひ乗っていただきたい路線だった。
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