遊び半分で「異世界」に行ったら本当にどこか連れて行かれそうになった話

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全国各地にある珍スポット。それは知る人ぞ知る場所で、気狂い個性的な人々が創った遺産です。富山県にもそういった場所はあって、この「ふれあい石像の里」も例によって珍スポットとして知られているのです。ふれあい石像の里。名前だけ聞くと楽しげな週末レジャー施設のようにも思えるのですが、現地へ着くやいなや、いきなり廃墟感漂う怪しげな文字がお出迎えをしてくれるのです。しかし、この場所において、これはご挨拶にもならないただの石なのです。

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この施設は「おおさわの石仏の森」と「ふれあい石像の里」のふたつから成っており、県営公園として整備されています。大型バス用の駐車場や休憩施設まで整備されており、いちおう観光地にはなっているのですが…

 

おおさわの石仏の森

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まずは「おおさわの石仏の森」に入ってみたのですが、いきなり真っ白なおじさんの彫刻が現れたのです。民を見下す独裁国家の指導者のような雰囲気。「よく来たな」と言わんばかりの表情にゾッとしてしまいます。でも、彼こそがこの不思議な世界をつくった人物、古河睦雄先生なのです。先生。そう、彼は地元の実業家で社会貢献に熱心な方なのです。この石仏群をつくったのも「人々のなごみになれば」「観光名所になってほしい」という願いから。地元の人々の平和と幸福を想う素晴らしい人物。しかし、公園の雰囲気がその人柄をかき消してしまっているのです。

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訪れた9月のこの時期、草木は荒れ放題。人影は見当たりません。草をかき分けながら進むと、山の斜面一面に石仏・石像が見えます。その数、五百羅漢尊者が500、如来像などが70体あるといいます。一体一体表情や格好が違い、同じものは二つとありません。石仏は穏やかな表情をしていますが、誰もいない鬱蒼とした森のなかに一人でいるととても心が落ち着きません。創設者は「人々の和みのため」と願ったようでが、どちらかというとその逆の感情を感じてしまいます。仏像が並ぶ光景は全国でも珍しくはありませんが、ここには独特の空気があるような気がします。

 

ふれあい石像の里

 

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500体の石仏が並ぶ「おおさわの石仏の森」もゾっとしますが、あれは肩慣らし。ここからが本番です。上流へ数百メートル進むと石像が並んでいるのが見えてきます。ここが「ふれあい石像の里」。この場所は「出会いとふれあいを大切にし、それを形にして子孫に名を残すことを念じて」創られた場所だといいます。何を言っているのかよくわかりませんが、公園へ足を踏み入れるとその謎が解き明かされるのです。

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公園に入ると、スーツ姿の人物の石像が何百と並べられている光景を目の当たりにします。その数420体。この人々は一体何なのか。森に迷い込んだ人々が呪われて石像にされてしまったのか?はたまた社畜の行く末を描いた現代アートなのか?あれこれと考えを巡らせますが、説明が書いてありました。「先生、知人、友人、社員、親族等を彫刻した」と。つまり、これは創設者の古河氏がお世話になった人で、その人々との出会いを後世に残すために創ったものなのです。また別の説明によると、古河氏はお世話になった人の写真を中国の彫刻家に送って、それをもとに彫刻をつくってもらったんだとか。嬉しいのか、嬉しくないのか。それはともかく、創設者の想いが詰まった場所なのです。

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見てください、この表情。みんな幸せそうですね(?)

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と考えてはみるものの、やっぱり怖すぎます。どう考えても何か「ヤバイ」世界に足を踏み入れてしまった感が否めません。もしかすると目が合うと自分も石にされてしまうんじゃないか、とか。いきなり空が暗くなってみんな動き出すんじゃないか、とか。そんなことを考えていると、振り向くたびに何かが動いているような気がしてきて、背筋が凍りついてしまいます。それでもフォトグラファーというのは変は生き物で、カメラを持っているとどんどん足を前へ進めてしまうのです。

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ときどき望遠レンズ越しにあちこち見ていると、突然まわりの像とは違うものが見えてきて「見てはいけないものを見てしまった」感に襲われます。さらに妄想で動いているようにも感じてしまうので、そろそろヤバいかな、と思いはじめるのです。時刻は日の入り1時間前のことでした。ちょうど低気圧が近づいて風が強まり、冷気が山から流れ下りてくるのです。

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そこで帰ればいいのに、次から次へと好奇心が湧いてくるので困ったものです。変な好奇心で一人でホラー映像を撮って遊んでいたのですが、撮った映像をチェックしたら自分でも怖くなってしまいました。どうしようもない馬鹿です。「ふれあい石像の里」にも300体の羅漢像が置かれていて、石仏の森と合わせると800体。この羅漢像がなんとも言えない表情をしていて、平地に300体が並んでいるのも独特の雰囲気。気づいたらどこか別の世界へ連れていかれそうな気がします。

「あれ、いま何か動いた?」そんな気がして、すたすたと振り返らずに家路に着いたのでした。

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