びっくり日本、15のこと。~学校編~

石川県の中学校でALT(外国語指導助手)として英語を教えている知人のメルセデスさん。彼女とはよく日本の学校についてお話をしますが、鋭い観察眼でいつもびっくりさせられます。そんな彼女のブログにおもしろい記事があったので、ぜひ日本人の皆さんにも読んでいただきたくて転載させていただきました。当たり前だけど、改めて言われるとおもしろい、日本の学校の15のことです。

1.学校に入る時に靴を脱ぐ

家に入る時に靴を脱いでスリッパに履き替えることは知っていましたし、関西外大の寮でもそれが当たり前でした。でも、まさか学校にもこんな掟があるなんて、誰が思うでしょうか。私も教師として、通勤用の靴と校内用の靴を持っています。他の先生たちと同じく、内履き用のフラットシューズは職員用玄関の靴箱に置いてあります。生徒たちも同様、生徒用玄関に自分専用の小さな靴箱があります。生徒たちは玄関で通学用の白いスニーカーから、内履き用の白いスニーカーへと履き替えます。でも「学舎の外の地面に一度も触れたことのない靴なんだから校内のどこにでも行っていいだろう」と思ったら、それは大きな間違いです。コンピュータ室や会議室などの特別な部屋の床はカーペットになっていて、先生であっても、靴を脱いで裸足で中へ入らなければいけません。

2.生徒が自分の教室を持っていて、教室を移動しなくていい。

アメリカでは先生が自分の教室と机を持っていて、生徒が教室を移動するのが当たり前です。日本では、先生の机は職員室(アメリカのものよりずっと広いです)に集められます。生徒はずっと同じ教室にいるままで、先生が教室にやってきます。もちろん、学級担当の先生もいて、担当教室で過ごす時間も少しは増えますが、アメリカの先生ほど教室の所有権は強くありません。教室には装飾だらけのお知らせ板もなければ、啓発ポスターや生徒の作品も置いてありません。先生に質問がある時は職員室に行って、「失礼します」と丁寧にお辞儀して、先生の机へ向かわなければなりません。

3.ラジオ体操 – 夏休みの間、6時に起きて体操をさせられる

夏休みの間(アメリカの夏休みは12週間ですが、日本では6週間)、日本の子どもたちは朝の6時に起きて近所の公園などに行って、毎朝同じ時間に流れるNHKのラジオの音楽に合わせて体操をしなければなりません。この集いは生徒や保護者のボランティアによって運営され、15分間にも及びます。この慣習は長い間日本の子どもたちに課せられてきたもので、同僚の先生方も全員子供の頃に経験しています。夏休みのこの慣習を除けば、ラジオ体操というとお年寄りがするもので、アメリカで言うところのアクアビクス(プールで行うエクササイズ)だと思われていますが、子どもたちは毎朝6時にラジオ体操に行って、台紙にスタンプを押してもらいます。ラジオ体操への参加は、良き市民であることと同義で、日本においては非常に重要なものです。

4.部活が活発

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日本では一般的に課外活動を「部活」と呼び、運動部やボランティア部、合唱部や吹奏楽部などがあります。どの部にも顧問の先生がいて、たいてい先生の経験や能力によって割り当てられます。同僚の英語の先生は女性ですが、サッカー部の顧問に割り当てられました。しかし、彼女は一度もサッカーをしたことがありません。友達の美術の先生は吹奏楽部の顧問ですが、楽器は弾けません。でも、そんな先生たちにとっては幸運なことに、部活は責任感のある高学年の生徒が部長になって運営されています。たとえば、友達の美術の先生はめったに部活に顔を出しません。なぜなら、部長が練習を仕切っているからです。運動部でも、コーチはたいてい練習に首を突っ込んできますが、練習や試合ではたいてい部長が指揮をとっています。しかし、この構図が部内の上下関係を生み出し、部活以外の場面にもその影響が出てきます。話が変わりますが、夏休みの間、毎朝8時に生徒が部活をしにやってくるのには驚きました。ときどき部活の様子を見に行きますが、毎朝8時に練習が始まり正午まで続きます。授業がある時はもちろん、土曜日や日曜日でも活動は6時半や7時まであるのです。

5.運動会

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私の学校では先日から運動会(スポーツ・デイ)へ向けて準備をしています。冗談を言うつもりはありませんが、最初に運動会の練習があると聞いた時は、学校が何者かに侵略されるのかと思いました。ところで、そもそも運動会とは何でしょうか。ざっくり言うと、アメリカの運動会(フィールド・デイ)とオリンピックを足して2で割ったようなものです。全クラスと全学年は色によって公平に分けられます。たとえば青団は3年生のクラスが2つ、2年生のクラスが2つ、1年生のクラスが2つといったように(著者の中学校は各学年8クラス)。私の学校には赤、青、緑、黄色の4つの団があります。

こうして分けられたチームは様々な競技で競い合います。200メートル走から縄跳びコンテスト、ムカデ・レースまで、種目はさまざまです。ムカデ・レースは日本語ですが、読者のみなさんが今までGoogleで検索した中でも最も恐ろしいアレから名付けられています。この競技は、メンバーの右足どうし、左足どうしを縛り合わせ、みんなで一緒に50メートルを走るものです。もうお分かりですね、まるで百足のようです。でも、日本の運動会が独特である理由は競技だけではありません。運動会へ向けての熱心すぎる準備もまたおもしろいのです。生徒は夏休みの間から団旗の制作をはじめていました。旗は凝っていて、グリーク・ウィーク*1のようなダサいスローガンを掲げます。それだけではありません。どのチームも運動会に向けて練習やリハーサルを重ねて、団の色のポンポンを使った応援の練習もします。こうした練習が生徒主導で行われていることも大事なポイントです。びっくりするほど熱心ですよね。

*1グリーク・ウィーク(Greek Week):アメリカの大学などで、男女別にポイントを競い合うイベント。音楽コンテストや仮装コンテストなど、内容はさまざま。

6.入試と学年

日本の義務教育は中学校で終わりです。つまり、高校に進学したい人は入試を受けなければなりません。高校入試の科目は国語、英語、社会、数学、理科です。どの科目も100点満点で、各高校は合格基準を決めることができます。加えて、各校は受験生の成績や課外活動も選考時に考慮します。そして、大学へ行きたい人は、また入試を受けなければなりません。学年の制度もアメリカとは少し違います。小学校は1年生から6年生までで、中学校は7年生から9年生、高校は10年生から12年生です*2。

*2アメリカの学年は小学校1年生から通しで数える。州によって異なるが、学年は6-2-4年制か5-3-4年制。つまり、高校は9年生から(日本の中学3年生の年齢)からはじまる。

7.可愛い制服

おそらく、みなさんの日本・日本の生徒の知識の中には、学校の制服もあるでしょう。アメリカのエンターテインメント界で出回っている制服画像は、制服をセクシーにしたもので、実際にはセーラー服が広く普及しています。制服は日本の生徒の日常生活から切っても切れないものなのです。日本の生徒は公立私立を問わず、小学生から高校まで、毎日制服を着ます。たいてい季節に合わせて2~3着の制服を持っています。長袖の黒や青の制服は冬用、半袖の白いものは夏用、セーターの類はその間の季節用です。

制服には厳しい決まりがあります。靴下の色、男子のシャツのボタンはいくつ留めなければならないか、女子の髪はどうしなければならないかなど。(私の学校では、髪が肩より長い女子生徒は、後ろで結んでポニーテイルかピッグテイルにしなければなりませんが、結び目は耳より低い位置になくてはなりません)。でも、生徒たちはだんだん靴下の色やボタンのことが鬱陶しくなってきます。しかし、制服が嫌いなのではありません。生徒たちにとって、制服は自分の学校を象徴するもので、言わば誇りの源なのです。自分の学校はまた、自分自身の一部でもあります。週末にも制服を着ている学生も多く、午前中の部活などのあと友達と出かける時に、そのまま制服を着ている人もいます。制服への愛は大人の世界にまで及んでいます。近所のスーパーの店員も制服を着ています。ただ同じ色のシャツと茶褐色パンツを履いているだけではありません。れっきとした制服なのです。

8.教室の大きさ

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アメリカの教室はせいぜい30人入るほどの大きさで、それほどの人数がいることは(少なくとも私の地域では)滅多にありません。日本の大きな学校では37人から40人ほどの生徒が1つのクラスにいます。

9.給食

中学校では、生徒全員が給食を食べます。給食はアメリカのように学校でつくられず、給食会社から購入します。毎日バットに入った給食が工場から届けられます。その後、各クラスの担当グループが給食用エレベーターまで給食を取りに行き、台車に乗せて自分のクラスまで運びます。ちなみに、この役割はクラスの中でローテーションします。生徒たちはエプロンを着て、三角巾をして、マスクもします。そして、授業を受けている教室で、自分の机で食べます。

生徒たちは全ての料理を器に取って、全部食べきらなければなりません。たとえ嫌いなものがあっても、です。でも、先生によっては嫌いなものを戻させてくれるようです。(それでも最初は全部取らなければなりません。)そのあとで、もっと食べたい人が、いらない人の分を貰います。メニューに選択肢はありませんが、毎日変わります。典型的なメニューは、魚、スープ、ごはん、牛乳です。時々ごはんの代わりにパン、魚の代わりに鶏肉が出ます。デザートはクリスマスのフルーツ以外はありません。おそらく、これまで私が見たものの中で、これが最も奇妙なことです。高校でさえも食堂はなく、弁当を持っていかなければなりません。

10.外国人への反応

これは日本人一般に言えることですが、子どもたちに関して言うとおもしろいものです。子供は他の文化についてあまり知らず、ヘンテコな質問をしてくるほど興味津々です。就任初日、私のところに女の子のグループがやってきて、カラーコンタクトを着けているのか聞いてきました。それまで生まれつきの青い目を見たことがなかったからです。またあるグループは他の先生に私がハリウッド映画に出ていた人かどうか聞いていました。私に対する生徒の反応で一番多かったのは、ただ私をじっと見つめることです。ただ私を見たかったからです。アメリカとは大違いです。日本人の子供は人種の多様性について考えることがありません。ほとんどの日本人は祖先もまた日本人だからです。でも、私の家族はドイツ人、スペイン人、メキシコ人が混ざっていて、母の目は茶色なのに、私の目は青色です。この話は、子どもたちにとって新鮮なものなのです。

11.掃除の時間

一日の終わりに、全校生徒が掃除をはじめます。生徒はみんな役割を振られます。階段担当、窓担当、教室、モップ、雑巾がけ、机拭き、といった具合です。毎日最後の授業とホームルームが終わると掃除をするのです。そして職員室にまで入ってきて、私の足のまわりの床を拭いて、くず入れを空にしてくれる生徒までいます。繰り返します。日本の生徒は毎日これをしています。

12.上下関係

日本は上下関係とステータスが命の国です。学校の中も例外ではありません。クラス代表から部長、運動会の実行委員長など、いろいろな生徒がさまざまなリーダーシップを握っています。さらに、授業で質問に答えさせたり、ペアになって作業をさせたりする風潮もあります。時々こんな環境をもどかしく思いますが、生徒に責任感を持たせているということも理解しています。

13.飲み会

先生たちは仕事熱心なので、ストレスが溜まって疲れきってしまいます。それに、たいてい仕事で人間関係を築くのも難しいです。しかし、日本の文化は人間関係を大事にするので、飲み会という手段を使います。飲み会は、お酒を飲むパーティーです。日本人はアメリカと同じく、ビールが好きですが、アメリカのビールのように不味いとは言われません。学期始めの日や運動会、骨の折れるような行事の後、先生たちは飲み放題の居酒屋に行き、ビールやおつまみを片手にわいわいします。働く日本人にとって、飲み会に参加することも社会生活の大事な一部分です。これは、私のようなお酒を飲まない人にとっても言えることです。飲み会は同僚と仕事以外の場で気軽に話しができる、大事な機会です。そして、リラックスして楽しむことのできるものです。繰り返しますが、私はお酒を飲みません。でも飲み会は楽しいですし、飲み放題のソーダと食べ放題のおつまみも最高です。

14.先生は親も同然

日本の先生は、親と同じくらい、生徒のことをなんでも知っています。どの部活に所属しているか、どんな家庭なのか、どの教科が得意でどの教科が不得意かなど、なんでも知っています。まあ、ファイルに書いてあるのもあるでしょうが、先生たちは本当に生徒の事を知っているんです。もしある生徒が学校で問題を起こしたり、保護者が相談したいと言ってきたりした時は、担任の先生がその家庭を訪問します。担任はその生徒に対して最も責任がありますが、部の顧問や監督などが代わりに行くこともあります。こうした家庭訪問は学校の勤務時間外で、手当も出ません。先生たちもため息はつきますが、積極的にやっています。

15.異動

日本の公立学校では、先生は学校ではなく市の教育委員会に雇われています。日本の教育界では、先生は新しい考え方を共有するために配属先を移したほうがよいと考えられています。そのため、先生は強制的に異動させられます。3月(日本の学年暦の終わり)になると、先生数名に異動辞令が下ります。配属先を変えてほしいとは言っていませんし、配属先の学校を選ぶこともできません。学年暦の終わりには異動保留やその逆の申請もできるにはできますが、最終的な決定権は教育委員会にあります。基本的には先生は3年か4年ごとに異動がありますが、1年で異動になることもあれば、10年間同じ学校に配属され続けることもあります。

著者について

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メルセデス・トレント(Mercedes Trent)
アメリカ・ケンタッキー州出身。関西外国語大学で半年間留学後、2014年9月から石川県金沢市の中学校でALTとして英語を教えている。読書と執筆が趣味で、外国での生活体験を自身のブログに綴っている。

原文:15 Surprising Things About Japanese Culture: School Edition

訳・注:YUKISON

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